学校給食は必ず変えられる

・保育園栄養士の365歩のマーチ(1~3)

・私が保育所(公立)栄養士を辞めた理由(1~4)

・南房総市の給食(1~3)

・学校給食はパン食よりごはん食がいい(1~3)

・母乳育児は『食』の原点(1~3)

・19年目の給食 ―闘う教師―(1~3)

・子どもの口に何が起きているのか(1~3)

・私が学校栄養士になったわけ(1~3)

 

『子どもは体で食べる』

和光幼稚園 大瀧三雄

第一回 「好き嫌いを気にする人が増えて」

 私は和光学園で幼稚園教師として勤めて34年が経ちます。34年間を通して感じることは、子どもを取り巻く社会状況がここ20年で大きくが変わったことです。
 感覚的ですが、食に関しては、「子どもに好き嫌いある」ことに、とても過敏な母親が増えてきていることです。和光幼稚園は入園して4日目からお弁当が始まります。父母には、「全部食べた満足感を大事にしたいので、少なめでいいですよ。子どもが食べられるものを入れてください。嫌いなものは避けてください。食べやすいようにおにぎりでいいですよ」と言っているのですが、初日から「嫌いなもの」を入れてくる父母がいるようになりました。子どもの好き嫌いを問題にして、何とかに食べさせよと頑張り過ぎる人もいます。そのようなお母さんから聞かれる言葉は、「私がこんなに努力しているのに、どうして食べないの」と、食べない子どもを問題にしてしまいます。
 15,6年前になるでしょうか。入園した3歳児が「ほうれん草」のことを「ギム」とうい子どもがいました。担任はなぜ「ギム」と呼ぶのかわからないので、何気なく父母に聞いてみました。母いわく『「義務だから食べなさい」と言っているので「ギム」と思っているのでしょう』と、担任は唖然としたようです。
 好き嫌いをなぜこんなに問題として見るようになったのでしょうか。食に関していろいろ言われることで「子どもの食事ついて」も無意識のうちに反映しているのではないでしょうか。「中年で太っているのは、自己管理ができていない」と話題になった時や、「一日30品目食べよう」と言われて時もありました。大人(中年以降の)の健康を考えて「バランスよい食事」が騒がれ「血液サラサラ」が話題になったこともあります。最近では「メタボ」が話題になりましたが、このようなことがそのまま、「子どもの食事」にも影響して、「好き嫌いなく食べる子どもに」と考えてしまい、「早くから取り組まないと後になっては取り返しがつかない」とあせってしまうようです。
 5年前、幕内先生の「子どもの食事について」の講演を聞いた時、「子どもは体で食べる。好き嫌いがあって当たり前。脂質、糖質のとり過ぎは体に良くない」と聞いた時、本当にすっきりしました。子どもは大人と違って「子どもとしての特徴」を持っていて、それは決して「その子が変だから、悪いから、我がままだから」ということではないことを学びました。子どもは様々な冒険もしますし、好きなことに夢中にもなり、好きなことを何回もしたがり、時には大人にとってはつきあい難くなることも「子どもの特徴」です。 

「バッカリ食い」
 和光幼稚園では5歳児なると7月に2泊3日の合宿があります。川や山で3日間たっぷりあそびます。多くの子どもは、1日目の夕飯で、おかずよりはまずご飯を食べていきます。食べる子どもは2杯ぐらい食べてから、やっとおかずに気持ちが向きます。幕内先生の「子どもは体で食べる」と聞いた時、私はすぐにこの姿を思い浮かべました。それまで、ご飯だけでなくおかずにも関心が向いてほしいと思い、「ご飯バッカリおかずも食べようと」関心を向けさせる働き掛けをしていましたが、それがいかに子どもの姿にあっていないか反省させられました。それからはご飯を先に食べたい子どもを安心して見ていられるようになりました。
 4年前に幕内先生の話を聞いた父母の子どもたちが1昨年合宿にいきました。この年の子どもたちは本当にご飯をよく食べて、おひつもおかわりして教師もビックリです。合宿は体調を崩す子もなく元気に帰ってきました。
 次回は4年前から始めたおにぎり弁当について書きます。